セジェルは娘の生白い腕にくちづけを落とす。女の肌は実に柔らかく、滑らかだ。男の硬く粗い肌とは違う。抱きしめて眠れば長の戦の疲れも吹き飛ぶだろう。その肉体自体に安寧がぎっしりと詰まっている。女とはそういうものだ。
なべて金に物を言わせる俗な輩とはいえ、女としての肉体的な良き性質はなんら損なわれない。耳元の吐息も穏やかで甘い。まるでよく晴れた日の午後の心地よい風のように。
このまま女の柔らかな感触を楽しみたかったが、いつものように己の欲望に忠実になってしまっては意味がない。言葉の代わりに行為で礼を返そうというのだ、相手の悦ぶ事をしなければならない。
セジェルは自身の性感を思い起こしながら、それを娘の肢体に重ね合わせる。
そのまま腕を伝って唇を下へ向かわせ、腕の付け根の内側の小さな窪みに顔を埋めた。そして舌を這わせる。
「そんな所舐められたって気持ちよくないよ」娘はくすぐったそうに身体をよじる。「将軍みたいな変態じゃないもん」
セジェルはあまり表情豊かではない顔に、あからさまに苛立ちを浮かばせた。こうなったら絶対に腋窩で感じさせてやるのだという気概が湧く。だが、そんな方向に動機と熱意が向いてしまう自分に、墜ちたものだと落胆もした。
「くふふ、あ、や、やだやだ、ほんとに、くすぐったいったら、やぁ、あっ、んん、あはは」
娘は可愛らしい笑い声を上げながらセジェルの身体の影で暴れる。釣り上げたばかりの魚のように跳ねる身体を捻り潰さない程度に腕で抱き締め、セジェルは一心に娘の脇を舐める。
一心に、とはいえども、ただ闇雲にではない。掻痒を感じる寸前まで追い上げるように、執拗に。すると、その幼い反応に徐々に色が混ざりはじめる。
「はぁ、ああ……」吐息は熱っぽく「なんか変な気分になってきた。ぞくぞくする」瞳は蕩けて頬は朱がさす。
セジェルは娘の腕の付け根に顔を埋めたまま、一連の流れるような形を描く娘の胸から薄い腹、そして細い腰を愛でるように撫で下ろす。まるで職人によって計算し尽くされた彫刻のように精緻で滑らかな流線型だ。どの角度から見ても完璧な姿に見えるであろうそれ。
そのまま服越しに下腹に触れるが、あまり性急に愛撫はしてやらない。
娘の方もセジェルの意を得たのか、その大きな手に身体を委ねはじめた。気を許しきった安心感がセジェルの腕に伝播する。
娘はセジェルを上目遣いに見上げ、服を吊り下げている肩の留め具を外した。まるで滝が流れ落ちるかのように薄衣が床に落ちて渦巻いた。
経験が乏しいと言う割に、セジェルのそれと交錯する娘の視線と行為の媚態は妙に生々しい。
「なんか……将軍みたいな変態になっちゃったみたい。変なとこ舐められて勃起しちゃった」
娘の腰がセジェルの腰に添えられる。その腰は薄く軽そうではあるが、中心に据えられた邪な得物は厚く重たい。セジェルはそれに手を伸ばし、包み込むように覆ってやる。それは燃えるように熱く、脈打っている。まるで窯炉から取り出したばかりの赤く輝く武具のように。セジェルの歴戦の無骨な手でも、熱く昂るそれを直に掴めば焼けついてしまいそうだ。
女の癖に、それもセジェルと比べれば年端も行かぬ子供と言っても過言ではないのに、何をまかり間違ったのか娘の男性器はいやに大きい。セジェルの手にさえ余る代物だ。
性感を煽るようにゆったりと娘の逸物を扱き上げながら、セジェルは娘の前に跪き、怒張への奉仕を開始した。待ちきれなかったかのように荒々しく竿にしゃぶりつき、音を立てながら唇で竿を舐り、突き出した舌の先端で尿道口を刺激してやる。
上品に吸いつくよりは、飢えた獣のように食いついた方が、品性下劣な自分の主は喜ぶだろうと思っての事だ。
女の性器のほど近く、根本の部分に舌を這わせる。舌をもう少しでも伸ばせば届きそうな場所に娘の、おそらく穢れのないであろう処女地があると思うと心が昂り、行為に身が入る。血腥い事柄に身を捧げているとはいえ、セジェルも男である。女の性器に夢中になる事がないと言えば嘘になる。
横から唇でおさえながら、野太い根本から先端にかけてを舐め取ってゆく。先端から透明な液体が滲めば、垂れ落ちる前に舌で拭い、そのまま竿を口内に迎えて全体に塗りつけてやる。
きちんと身体に触れて快感を高める事も忘れない。少年のように引き締まった小ぶりな尻や、成熟した女のようにくびれた腰、そして若々しいしなやかな脚を磨き抜くかのように優しく撫でる。
「いつもそれくらい熱心にやってくれたらいいのに」
いつもの事をこき下ろすよりも、今熱心に奉仕している事に感心するべきではないのだろうか。セジェルは少々気を悪くして、娘を上目遣いに睨みつけた。しかし肉棒をしゃぶりながらの視線で人を怯ませるなど不可能だ。口からは実に下品な音が響いているし、羞恥に肌は紅潮しているのだから。そして反抗的な態度は媚態をより燃え立たせる火種にしかならない。
「ん……あ、今の……ちょっと嫌味だったかも。はぁ、ほんとは、すごく、いいの、あ、ふぁ……」
だが相手は案外素直に感じている事を認めた。その言葉を裏打ちするかのように娘の怒張はその太さ硬さを増し、雄々しい隆起となっていた。
「あー……わたし今、んっ……エジプトの将軍に、なんたら艦隊のえらい人に、やらしい事、されてるんだあ……」
セジェルの身体に熱が溜まる。こと、顔と下腹部に。この自分が、艦隊を任された常勝の将軍が、小癪な小娘に屈服して地に膝をついて肉棒に無様に奉仕している。その卑屈な考えが、精神の奥底では被虐嗜好な将軍の快感を責め苛む。
「あー、もう、将軍の、変態っ……んー、すっごぉい、その顔、ひどいよ。最低。対戦相手が見たらドン引きするよ」
「うる……さい」
否定の声もどこか切れがない。怒張をしゃぶっていて舌が回らぬせいもあるが、己の顔がそれはそれは卑猥に蕩けている事が容易に想像できたせいなのが一番だ。
「あ……あ、ん……あ、どうしよ、将軍、しょ、ぐん……」
娘の腰が踊るように震え、声に余裕がなくなってくる。見上げる顔は泣き顔にも似た淫らな表情だ。少々気の強そうな眉は垂れ下がり、目の周りは赤みがさし、果実のように艶やかな唇は唾液に濡れて熱い吐息を漏らしている。
今は少々淫らな色を含んでいるが、こうして見ると娘には年相応の快活な美しさがある。見てくれの美しい者は心も美しい、とは限らないし、むしろセジェルの経験に基づけばそうでない事の方が多かったのだが、もしかしたらこの娘に限っては、と錯覚してしまうくらいに美しかった。少なくともセジェルにはそう見えたのだ。単に好みの問題ではあるのだが。
しかし感傷に浸っている場合ではない。こんな事は初めてだった。娘がセジェルの行為で泣く事なんて。それを好機とセジェルは攻めの手を一層苛烈にする。どうせ無様に女の精液を引っ掛けられるのだ。なら、澄ました顔で嘲笑されながらそうされるよりも、最大限追い詰めてやってそうされる方が溜飲も下がるというもの。矜持のために限界まで足掻いてやるのだ。「将軍、も、やめて、やだぁ、ん……あぁ、はなしてよう。出ちゃう……」だから、泣いても喚いても手心を加えてやるつもりはなかった。いかな守銭奴、物質主義者とはいえ、身心共に経験の浅い、所詮は子供だ。歴戦の将軍にとってはかわいいものだった。
「出せ」
セジェルはとどめにその巨根を口に含み、口腔全体で締め付ける。喉奥を狭め、舌で筋をすり潰す。ここまでしてやれば相手も白旗を上げるだろう。
と、思ったが「わかった、じゃあこのままおしっこしちゃうから」遥か高みの表情は今までの弱々しさはどこへやら妖しく笑った。
「んっ、んんっ!?」
頭を退こうとしてももう遅かった。後頭部を娘の手に絡め取られ、薄い腰を押し付けられる。
喉奥に先端が激突し、目の奥で火花が散る。そして――
「ごオォッ、ンボオォッ、ム……ッ、んぶっ、オッ、ごッ!?」
勢い良く注ぎこまれる娘の老廃物。喉を焼き荒らしながら瀑布のように胃の腑に流れ落ちる。胃に溜まる尿の衝撃はまるで金槌で胃底を叩きつけられるかのように感じられた。
身を離そうにも後頭部をしっかりと押さえつけられているためにそう易々とはいかない。いや、というよりも、どこか本気で逃れようとは思っていないのだ。
「ンぶっ、がぷッ、ン゛ッ、ム゛ォ……ッ」
今や尿の通り道と成り下がった喉と、堅牢な筋肉の鎧で覆われた腹が性急に痙攣する。黒目が裏返りかけ、鼻水が垂れる。すべて喉奥に直に放尿される息苦しさのせいだった。
だが、その息苦しさがセジェルの興奮を否応なく駆り立てる。
軽蔑しきっている守銭奴の小便を飲まされているという屈辱に、セジェルの雄は猛々しく反応する。竿はいちどきに勃起し、睾丸は迫り上がり、堪える事も忘れて激しく埒をあけた。
「ンオオッ、おごッ、ンーッ!」
セジェルは自身の汚れを赤銅色の腹や胸で受け止める。
「おしっこ飲みながらいっちゃうとか、変態すぎ」
娘に謗られたとおり、尿を飲み干しながらの吐精は実に惨めで情けなかった。その惨めさにまた中てられて、セジェルの肉棒は萎えきらず、痙攣しながら何度も断続的に駄汁を垂らす。
「んオッ、オ゛、くごっ、ん、んん……」
己の射精が終わり、娘の放尿の勢いが緩んでくるに従って、徐々に身体の力が緩んでくる。精悍な顔は蕩けてだらしなく、肉欲に溺れて隙だらけだ。
「ふんっ、ん、んふー」
自由になった気管にやっと空気が通り、セジェルは娘の肉棒を放すことも忘れ、鼻で一心不乱に荒々しい息を繰り返す。
「わたしもついでに一回出しちゃおう」
「ふむっ、うんんッ!?」
しかし排尿から間髪開けずの容赦ない放出に、セジェルは再び息を詰めた。
素直に流れ落ちる尿とは違い、粘ついた精液は喉に執拗に絡みつく。喉を性器の代りに使われる事は慣れたが、しかし排尿から立て続けに射精されるとこたえるものがある。尿で濡れ、精液でぬめる喉が切なげにひくつく。まるで悲しんで嗚咽しているかのように。