戦友と報酬 - 5/6

 ここまで来ると流石にセジェルの肉棒も吐精を諦め、完全に打ちのめされて床に平伏していた。
「ふう、すっきりした」
 娘の怒張がずるりと引き抜かれる。一度出した程度では萎えないそれが、上顎や舌を苛めて通り過ぎてゆく。
 セジェルの唇と娘の怒張の間に粘液の糸が引き、そして床に垂れた。
「ンふー、ふ、ん……げうっ、お、おお……ォ」
 セジェルは久方ぶりの新鮮な空気を吸いながら嘔吐くが、胃から排泄物や精汁を追い出すには至らなかった。
 嘔吐いたせいで胃の奥から嗅ぎ慣れた雄の濃い臭いが立ち上ってくる。その臭気がセジェルを惑わせる。まるで頭を鈍器で殴られたかのように効くのだ。鼻の奥がきな臭く、目の裏で星が散り、平衡感覚がなく地が撓む。セジェルは思わず上半身を床に横たえた。
「今日はもうおしまいかな。将軍の友達を値切って買ったお礼としては、結構よかったよ」
 一方で出すだけ出した娘はあっさりとしたものだった。床に落ちた服を拾い上げ、さっさと着て終わりのつもりのようだった。
 セジェルとしては、ここで終わらせるのは癪だった。これでは途中でこちらが音を上げたような格好ではないか。
 セジェルは娘を掻き抱き床に押し倒し「はあっ、はあ……これで終わりなわけが、あるか……。まだ満足してないだろう」娘の萎えきっていない怒張を扱き立てる。何度か竿を握り、先端を指の腹で磨くように擦ってやれば若い肉欲は瞬時に漲り満ちて、怒張を激しくそそり立たせる。
 娘の気が満ちたのを見届けるや、セジェルは娘の細い腰を跨いで床に膝をつき、その不遜な顔を見下ろした。
「無理しないほうがいいんじゃないの。将軍、わたしと違ってそんなに若くないんだし」
「うるさい黙れ。俺がやると言うからにはやる」
 娘の怒張は先走りやらセジェルの唾液で十分濡れており、臀の穴をわざわざ慣らしてやる必要がなさそうに見えた。加えてセジェルのそこは度重なる淫虐によって十二分に柔らかくなっているのだ。慣れ親しんだ娘の怒張を銜えこむに不足はない。
「うあっ、あ、あぅ……」
 とはいえ、流石に羞恥までは取り払えず、ぬるついた先端がそこを抉じ開けようとすると吐息が震える。身体の芯から瓦解してゆくかのように。
 目を瞑れば、かの様子が仔細にまぶたの裏に浮かぶ。つまり、ぬるついて鈍く輝く怒張の先端がセジェルの肉をゆっくりと割る様が。
 初々しく震える肉蕾に雄の先端が触れるや、そこはまるで吸い付くかのように雄に媚びるのだ。そして肉蕾は触れたその感触に絆されて、勃起しきって張り詰めた先端に攻められる事を許してしまうだろう。そして先端さえ受け入れてしまえば、後は圧倒的な快感で支配されるのみ。
 セジェルは頭をゆるく振り、度を越した性妄想の羞恥に閉じそうになる目を一心に瞠る。喉を晒し、天を仰ぎ、深い息を吐きながら腰を降ろしてゆく。
 娘の大きすぎる怒張の先端が入り口を割り開き、皺を伸ばしながら焦らすように緩慢に中に埋没していく。もっとも、焦らすような動きになっているのはセジェルがこの期に及んで覚悟を決めて思いきれないせいなのだが。
 肥大した怒張が肉環を押し広げながら奥へ奥へと制圧の手を伸ばす。セジェルの肉棒の裏側を先端で擦過されると、堪えようも無いほどの快感が湧き上がる。
「ん、むうっ、お……」
 肉体と精神を支配しにかかっている肉悦を逃がそうと浅黒く筋肉質な身体がうねる。
 亀頭が善い場所をねっとりとこね回し通り過ぎた後も、野太い竿がそこを押し広げて筋で擦り上げてくる。
「ふ……ぐぅっ」
 出し惜しんでいたセジェルの息が押し出される。
 情けなく緩慢に腰をおろしていたセジェルだが、ようやっと情交の相手と深く繋がったのだ。
 毎度の事ではあるが、セジェルは心中悪態をついた。見てくれは女の癖に、それもまだ未熟な歳の頃だというのに、セジェルを貫く肉槍は雄々しく成熟しすぎている。奥深くを穿つ先端は包皮が剥けきって卑猥で、肉道とその入り口を無残に広げる竿は、見るからに生命力漲っていそうな程に筋が張って逞しい。
 そうして意識すればするほど、セジェルの臀は娘を締め付け深く堪能し肉悦に溺れる。このまま動けば射精を伴わぬ快感が押し寄せるだろう。
 セジェルは萎えている己の肉棒を乱雑に激しく扱いた。臀の中だけで快感が完結していると思われたくなかったからだ。雌のようだなどと嘲笑の的になる事は矜持が許さない。それならば恥も外聞もなく娘の目の前で肉棒を扱き立てたほうがまだマシだ。だが、扱いて肉棒に喝を入れる度に肉穴が快感に蠢き、いやましに娘の怒張の存在を感じてしまう。
「あうっ、う、ああ……ッ」
 扱く肉棒からとろりと垂れる先走り。淫らな熱に理性を奪われかけている事はもう否定できない。
「うわ、将軍が自分で扱く度にすっごく締まる。今日はほんと、すごいサービスデーね」
 娘の手がセジェルの脇腹を撫でる。その愛おしむかような労わるかのようなしっとりとした触れ方がセジェルの欲を煽り、彼の雄々しい腰が泣き言を言い始める。早く情が欲しい、引導を渡して欲しいと。娘の肉棒を奥の奥まで頬張りながら種付けを甘受し、己の欲も吐き出したいと。
「よ、余計な事を、するな……ッ!」
「はいはい。今日は将軍のきまぐれお任せコースなのね」 
 己の疲れ切った肉棒が半ば無理矢理勃起すると、セジェルは恐る恐る腰を持ち上げ、情交を開始した。腿の力のみで己の大柄な身体を持ち上げ、重力に任せきらずに勢いを殺して落とす。そうしなければ最奥に位置する肉の関門を娘の抜身の怒張で貫かれてしまう。どうにもこうにもそこが弱いのは己がよくよくわかっていた。何としても最後の砦だけは守り切らなければならない。
「はあっ、あっ、おお゛っ、ン、オー……ッ」
 とはいえ娘の剛直が肉穴を擦りあげると、大柄なセジェルの身体の隅々まで余すことなく快感が奔走する。泣き所を逃してやってもこの体たらくだ。
 こらえようもない荒い息を吐き、セジェルはその身を震わせる。
 肉の悦びは身体の芯、脳髄からセジェルを痺れさせてドロドロに溶け崩していくかのようだ。
 開いた唇の端から涎が垂れ、娘の胸元に垂れる。
「ねえねえ、わたしを愉しませてくれるつもりなんじゃないの? 自分が気持ちよくなってどうするのよ。それとも、そもそも自分のために始めたの? やだ、淫乱」
 寝そべる娘がセジェルの乱れ具合を揶揄する。
「畜生……黙れ……」
 そう言われると、確かに己の快感だけに忠実な自分勝手な行為になっていたかもしれない。無意識のうちに適度に善い場所を娘の雄で犯させ、行為に耽溺していた事に気づき、セジェルもそれをきっぱりとは否定できない。
「ほら、なよなよしないで」
 羞恥から動きが鈍った奴隷を駆り立てるように、娘は下から突き上げて奴隷に喝を入れる。
「ふお、んおおっ!」
 唐突な突き上げにセジェルの肉棒がしゃくりあげ、先走りがしぶく。すんでのところで吐精は免れたが、気をしっかりと持たねば簡単に流されてしまいそうだった。
 セジェルは薄い唇を引き結び、腹圧をかけて軟弱に屈んだ腰を立たせ、機械的に腰を振る。それでも気を抜けば欲も抜けてしまいそうな快感は身に刻まれたが。
「もっとやらしく腰振ってよ。それじゃあ訓練してる時と同じなんですけど。なんか今日は素直なようでいて全然いつもより素直じゃないね」
 その動きは性的なそれというよりも、身体を鍛えるためのそれに見えるようで、娘には少々不満のようだ。
 セジェルは舌打ちしながらも頭の後ろで腕を交差させ、発達した筋肉に覆われた豊満な肉体を見せつけるように反らす。すると硬そうな胸筋が柔軟に吊り上がり、割れた腹筋が張り出す。あらゆる神経や血管の集まる急所ともいえる腋下が晒され、実に無防備な姿勢だ。腰の上げ下ろしの度に精悍な太腿が肥大し、肉体の筋肉の陰影が色濃くなる。
「ああ゛ー……ッ、畜生、こんな、くそっ、うあっ、あっ、お前のような奴に、ぇあっ、あ゛、くはっ」
 逞しい腰が卑猥に前後左右に揺れる。常ならば戦に特化し性の気配など微塵も感じさせない肉体であるが故に、色が混ざるとより一層艶めかしく感じられる。
「お前のようなって、どういう意味よ」
「お゛ッ、お前のような」身体を使っていると、心までついてくるような気がセジェルにはした。つまり、肉欲だけでなく目の前の唾棄すべき守銭奴に対する思慕の情まで芽生えてしまいそうだったのだ。「う……」
「美しい女?」
「薄汚い品性下劣な俗物にぃい……ッ!」
 情を肉欲で漱ぎ、自分を苛め抜くために腰を力強く振る。
「褒められると照れるわ」
娘は落ちてくるセジェルの腰を迎え撃つかのように下から腰を突き上げた。
「んおあ゛あ゛あ゛っ」
 セジェルは野太い呻吟を漏らし、乱れる。意図せず腰が艶めかしく踊り、そそり立つ肉棒が跳ね回って腹を打つ。肉棒が自身の身体を打擲する度に腹に先走りが塗りつけられ、離れると糸を引く。己の情けない乱れっぷりにより一層あてられ、セジェルは涙を流しながら善がる。
「その動きいいね。そういうお商売の人みたい」
「う、ん、黙れ……」
「そういう情けなく掠れた声を聞いてるとわたしも切なくなっちゃうのよね。ほら」娘は無遠慮にセジェルの中で滔々と欲望を放った。「この通り」
 粘着く白がセジェルのはらわたを穢す。それだけならまだやり過ごす事もできただろうが、己の浅ましい肉体がそうさせてはくれなかった。
与えられた餌に喰らいつくために肉道が緊密に狭まる。逃げをうつ間もなく押しつぶされる快感の源。
「あがっ、が、っふ……!」
 セジェルの身体が極めて激しく反る。まるで矢が射出される寸前の激甚なエネルギーを湛えた弓のように。骨格は強張りながらも、欲望を孕む腰は痙攣していた。その震えはたちどころに身体中に伝播する。発達した背と腹の隆起が断続的に跳ね、娘の腰を挟み込んで固定する大腿がより一層強く娘をかき抱く。一滴残らず飲み干してやろうなどとは露程も思ってはいないというのに、身体は骨の髄からそれを求めていたようだ。これで仰臥させられて犯されていたならば、おそらく更に無様に醜態を晒していただろう。相手の射精に合わせて下から腰を掲げ娘の細い腰を粉砕せんばかりに両脚で抱え込んでいたに違いない。