乗船日和 中 - 4/5

「ごっ……ごめんなさ、い……」
「何が悪いかわかっていないくせに謝らないで」
 僕はもう一度心の中で謝った。
「ベッドに乗って。四つ這いになりなさい」
 彼女は手にした僕の杖で寝台をぱあんと叩いた。僕は身を縮ませて、しかしなんとか急いで言いつけに従う。なるべくこの寝台を汚したくはないものだが。
 たぶん杖で尻を叩かれるのだろうと見当つけていたが、しかしそれは僕の肛門をぬるりとぶち抜いて直腸を乱暴に穿つ。思わぬ衝撃に腰といわず全身がかくかくと痙攣する。
「がぁッ、っあ! や゛め゛……ぇ゛、む、りっ、ハァっ、おぁ゛っ、いだ、っぃい……!」
「嬉しそうに飲み込んでいるくせに、何が痛いの」
 確かに痛くはなかった。
 杖にはきちんと軟膏か何かが塗られていたようで滑りは悪くなかったし、なんなら彼女のペニスよりも細いくらいだから痛いわけがない。ただ長さは当たり前のようにあるし、途中に引っかかるような返しもないために押されれば押される程、無遠慮に奥まで入ってくる。長大な金属と木でできた杭によって直腸が奥に伸ばされて、そのあり得ない臓物の動きに肉悦がぐちゃぐちゃに乱される。脳の中まで掻き混ぜられているようでおかしくなってくる。
「お゛ッ、ア゛、ん゛あ゛、あ゛ー……っ」
 突き出した舌をしまう事もできず、先から涎を垂らしながら馬鹿みたいに喘ぐしかできない。ついでに惨めに勃起した肉棒の先からも汁が漏れる。穢したくないと思っていた彼女の寝台を盛大に汚してしまっている。
「わたしのよりもいいみたいね」
 びしりと尻たぶを平手で叩かれる。
「いぎッ……っ、よくなっ、きみのっ、以外は……っ、や、お゛あああっ!」
 尻を叩かれ、隘路の先の窄まりをごつごつと殴打され、乱暴にされる感覚が腰骨を痺れさせて徐々に抵抗を奪われてゆく。よくない場所に入ってしまいそうな、背徳的で甘美な忌避感。
「ォん゛ッ、ぁ、だめ、ッ、は、ぉ、ぉお、それっ、いじょ……う、だめ、だとおもっ……ぅああっ!」
「気持ちいいのに?」
 僕は頭を横に振る。彼女は嘘を見咎めるように尻を何度も何度も叩く。腰が盛大に揺れた。
「わたしと彼女が妙な事になると思ったの」
 僕はひいひい言いながら素直に首を縦に振る。
 彼女の手が止まり、僕は束の間生き返る。
「ふうん。どんな」
 寝台に腰掛けた二人が楽しげに遅くまで話し込んで、ふと会話の途切れた夜半、見つめ合ってどちらからともなく顔を寄せて唇を合わせて、互いにしっとりと愛撫しながら薄衣を脱がせてゆく。滑らかで白い女の肌が一つに溶け合うように混ざり合い、夜の闇の中で吐息まで蕩けて、一つになって……。
 僕のしょうもない性的な妄想を開示させられた。途切れ途切れ、羞恥に打擲されながら僕は彼女に迷妄のすべてを聞かせる。彼女に向けているのが尻でよかったと思う。顔を向けてできる話ではなかった。
 彼女は暗く、しかしけたたましく笑う。
「女が好きなのは彼女でなくあなたの方じゃないの。いつも女同士で淫らな行為をするのを想像しているからわたしもそうなると思うのよ。この偏執狂の豚」
 暴言に心臓を鷲掴みにされる。
 金属加工が施された硬い杖の握りに甘く掘削され、強固に閉じられていた奥津城がとうとう突き崩された。
「あ゛——」
 空気混じりの泥を掻き混ぜるような音を立て未踏の場所を荒らされる。過ぎたる快感は愉悦というよりは苦痛で、しかし苦痛は快感で……。
 尻を叩かれると杖が揺れて前立腺を押し潰される。僕は狂ったようによがって震えた。
「いつも使っている道具に犯されて射精するなんて、いけない子ね」
 そう言われて、彼女の寝台に射精していると気付く。精緻なレースの編み目に絡みつく、白いのにどこか不潔に見える粘液。とうとう汚してしまった。彼女が毎晩眠る清らかな場所を。
「ごめ、ぇ、んぇっ、なしゃ……あぇ、はへっ……へぉ……ぉ」
 僕は寝台に沈み、舌を突き出し、出るのは唾液か痴れた喘ぎだけ。
 仰向けになるよう命令され、僕は杖を喰んだまま重たい身体を無造作にひっくり返す。軋む寝台。背中に張り付くぬるりと濡れた寝具。よくない場所を穿ったままの杖。
 覆い被さり覗き込んでくる顔は薄暗い室内で表情は消えてまるで亡霊。
「死体みたいに瞳孔開きっぱなしね。こんな顔わたしにしか見せないわね。そうでしょ、そうよね」
 そうです。と言いたいが、口を開けば激烈に拍動する心臓がひっくり返って飛び出そうで、何も言ってはやれなかった。
 彼女の手が僕の首筋にかかる。
 絞められる、と期待したがその手は今朝彼女に施されたキスマークをなぞっただけだった。すでに消えかけの、虫刺されのような茶色く凝った鬱血を。
「そうね、でも、だめ、まだ。わたしの物という徴をつけないと。一生消えないような。そうしないと気が治まらない。拒否権はないのよ、豚さん、あなた家畜なのだから。わたしの」
 気の済むまで好きにしていい。拷問して、壊して、なんなら殺してくれたって構いはしない。
 彼女の舌が僕の胸元にぺたりと落とされる。ぬるり、ぬめぬめと、体毛を巻き込みながら乳輪を愛撫される。初めて拓かれるというのにすぐにもどかしい感覚が脳天から腰を貫き、喉が鳴る。胸の先端が痺れて勃ち上がるのがわかる。陰茎の勃起に似た焦れた快感だった。
「はぁ、うあぁ……あ……んぅ」
 女のような喘ぎ声が勝手に漏れて、はらわたが緩やかに蠢く。柔らかな唇で先端を吸われると身体の深い所がきゅんと締まって切なくなる。
 彼女が僕の上から身を引いて、小瓶と綿花、小さなブリキ缶を手にまた戻ってくる。その缶はレコードの針を収納する小箱によく似ていた。
 彼女は綿花に小瓶の液体を絡めて湿らせ、それで僕の乳輪と先端を拭う。塗り付けられた液体は外気に触れると冷たく揮発して、消毒液かアルコールだとわかった。
 視界の外で缶を開けた軽い音と細かな金属が触れ合うような心地のよい音が聞こえた。
 そして胸の先端に添わされる冷たい何か。
 顎を引いて胸を見た瞬間。
「いぎっ!?」
 身体の芯を貫くような激痛。脊柱が折れんばかりに身体が仰け反って脳は幻惑されて、目を開けているはずなのに何も見えない。
 じんわり薄朱に染まった視界が開けて、痛みの源を見る。
「あ゛ー? あ……、ぇあ……?」
 左の胸の先端を横に貫く銀の装飾。ピアスだった。両端に微かに滲む血。
「んはっ、はぁ……ッ、やっ、いた、ぃ……」
 痛いが、しかし被虐に股間は盛大に反応して杭を打ちこまれている内臓は悦びに打ち震えている。
「もう片方も入れるわね。今度はよく見えるようにしてさしあげる」
 彼女は僕の頭の下にクッションを敷き、身体が動かないように腕をヘッドボードに、脚をフットボードに縛り付けた。
「ふー……っ、ふぅう……あ、あぁ、まってッ、まだ……があ゛あ゛あ゛ッ!」
 今度はよく見えた。
 勃起した乳頭をぷつりと破って貫く中空の針。針の中の管にピアスを差し込み、貫通用針だけを逆側から抜き取る。そしてピアスの突端に受蓋をして完成。
 弱々しく敏感な皮膚を貫かれた痛みに手脚が暴れて寝台が激しく軋んだ。
「んひっ、ひぃー……、ふひ、ぃんっ」
 涙も鼻水も垂れ流して、僕は法悦に打ち震えた。肉棒はびくんびくんと下腹部を叩き透明な汁を撒き散らす。さぞ情けない姿をしている事だろう。
 仕上げに彼女は僕の乳首に直に瓶の消毒液を垂らした。灼けるような痛みに胸を頂点として仰反った。
 彼女は僕の脚の拘束だけを乱雑に解き、蛇のように身体の上に乗り上げてきてうっとりとした顔で囁く。
「わたしのせいで泣いて、叫んで、たまらないわね。お胸の飾りもすごくかわいいのよ。むちむちした大きい胸の中心で、ちっちゃい飾りが震えて」
 彼女の手が僕の胸を揉んで歪ませる。貫通されたばかりの傷が引き攣れ痛む。
「んァっ、は」
 コルセットと彼女の手で寄せ上げられた筋肉質の胸は女のそれのように豊満で淫靡に感じられる。雄の……彼女の欲望を掻き立てるための器官だ。彼女の手によって淫らな肉体に作り変えられてしまった。彼女のためだけの性処理用の畜肉に。
「傷口が新しい皮膚に変わったら識別標に変えてあげる」
 彼女の言う識別標は兵士が首から下げる金属板の事でなく、おそらく家畜が体に直につける標の事だろう。邪な愉悦に腰の奥が彼女を求めてうねる。
「そんな裸体、誰にも見せられないわね。これでもうわたしのものね、あなたわたしのものよ、大尉さん」
「ん……うれ、し……い」
 僕は脚を彼女の華奢な腰に絡ませて抱き寄せた。素肌に触れた彼女の陽根は激しく催して再び兆していた。
「笑っているの。泣きながら。すごく淫ら。嗜虐心が満たされるわ」
 降ってくる深い口付け。汚れどおしの僕の口内を小さな舌が隅々まで検める。それに僕の肉厚の舌を添わせて、絡めて、味わう。
 彼女は僕の下腹に腰を擦りつけて性器の快感を追ってか細い嬌声をあげる。
「……てっ、いれて、おね、がい……」
 快感にぼやけた思考で譫言のように懇願する。
「なにに」
「お、おしり……っ」
 もどかしく腰を振る。杖が動いてはらわたを掻き回す。
「なにを」
「き、みの……」言いにくくて生唾を飲み込む。「う、うぅ……いん……っ、ペニス……っ、ほしぃ、つかって、ぼくの……っ」
 彼女は心底嬉しそうに微笑んで舌で真っ赤な唇を濡らす。
「誰にでもそういう姿見せないでね。普段はいつものように無口でいて。わたし以外に興味ないといった感じの。けどわたしにはいつものように渇望して阿るような視線を送って」
 彼女は僕の尻から異物を引き抜こうとするが、守りをしっかり打ち破って制圧した杖はなかなかその場を明け渡そうとはしない。
「んぃッ、ぁ……、うぁっ、へん、な、かんじ……」
 無理に抜こうとすれば直腸ごとずり落ちてきそうだった。
「お尻にしっかり嵌ってしまって抜けないのよ。力ずくで抜いては壊れてしまう」
 それでも一向に構わないとは思ったが「使えなくなるの困るでしょう。わたしもそこまで嗜虐趣味極めていないの」彼女は僕の考えなどお見通しで、呆れたように顔を顰める。
「いきんで。排泄と一緒」
 僕は脚を開き羞恥心を抱きながらもその時のように局部に力を込めた。彼女は僕の下腹部を雑に押さえつけ、杖をゆっくりと引き抜いてゆく。圧迫された下腹部の内側が熱く蕩ける。
「あ゛ーっ、ん、うぅ……」
 僕の尻から杖が抜け落ちてぽかりと空いた穴が切なく疼く。
「お腹もお尻もびくびく痙攣してかわいい。今度はわたしので中ぐちゃぐちゃにさせてちょうだいね」
 彼女は下着の裾を捲り上げて脚と性器を露出する。形の良い臍まで届く雄々しい屹立に圧倒される。
 僕の脚は脇腹につくように折り畳まれて迎え入れるように腰が上向き雌穴を晒す。屹立の先端が入り口を掠めて焦らしながら先走りを塗りつける。無機質な物体でなく肉体によって施される刺激は身体によく馴染んだ。
「お゛ぉ……ッ、ん」
 いいだけ異物で慣らされた穴は抵抗なく彼女を受け入れる。ゆっくりゆっくり埋められて内臓が悦ぶ。普通の夫婦や恋人同士の行為のようでそれはそれでとても心地がよかった。
「ゆっくりきもちいい?」
 頷くと、彼女はとても優しく微笑んで「じゃあやめた」腰を強く疾く突き下ろし僕を貫いた。捲るように広げられた臀部と彼女の滑らかな下腹部が耳に淫らな肉打ち音をたてて密着する。
「あなた酷くされるのが好きだものね」
 杖に破り拓かれて路ができていたおかげで屹立は容易く奥の奥まで嵌まり込んでいた。深い所に彼女の熱を捩じ込まれ身体が激しく痙攣する。快感だとか苦痛だとかはもうよくわからなかった。背筋も顎も仰け反らせて慄くだけ。
「ああ、杖、こんな所まで入っていたの。それはおかしくなるはずね」
 立てられた彼女の人差し指と中指が僕の下腹にあてがわれ、正中線をなぞって臍の下辺りで止まる。そしてずしりと埋められる。外側と内側から圧迫され、はらわたの奥がじんと痺れる。
「お゛ぉ……っ、はぁ……深、ぃ゛……」
 彼女の存在をしっかりと味わわされて唇の端から勝手に唾液が流れ落ちる。堪能し垂涎する堕落した顔に見えたかもしれない。
「ここを使うのは初めてのようね」
 流石に虜囚時代の拷問じみた陵辱でもこんな場所まで道具や性器で侵入された事はなかった。彼女に匹敵する程に強靭で立派な雄はいなかった。
「嬉しいわ、あなたの初めてを貰えて」そこまで言ってから彼女は唇を歪めて笑んで言い直す。「奪えて」
「はー……っ、はふ、っん゛ん゛……」
 首を振り、努めて息を深く吐く。過ぎたる苦痛と快感を逃すためだったが、彼女の執拗な口付けによって吐息を奪われ目的を阻まれる。
「ん゛っ!? んぉ……だめ……っ、ふっ、ぐる゛じっ」
「苦しいのお好きでしょう」
 うっとりそう言うなり彼女は激しい交接を開始した。
 初々しい場所を無遠慮に出入りされて息が詰まる。鈍痛とまではいかないがその関を往復される度に腹の奥で湯の沸き上がるような鈍い感触が響く。彼女もそれを感じているようで、お腹の底くぽくぽ言ってかわいい、きもちいい、などと言ってくる。
 臓物の奥深くを雄の性器で直に掻き回されるなどという拷問めいた交わりは暴虐で性的快感を得てしまう僕にはひどく効いた。
 破城される度に肉と筋が引き締まり寝台が壊れんばかりに軋む。寝台の悲鳴が僕の呻吟と混ざり合って悪霊が部屋中を暴れ回っているかのよう。
 僕の目の前で彼女の胸が薄衣の下ゆるやかに揺れる。桃色の先端が薄く透けて愛らしく主張している。
 彼女は鳩尾の辺りまで下着のボタンを外して形の良い生白い胸を露わにする。菓子のように滑らかに可愛く動くそれから目を離せない。
「触りたい?」僕は頷く。彼女は嗤う。「だめ」
 苛められ、僕は益々昂る。
 彼女は僕の脚を胸につく程折り曲げる。息苦しくなり肉粘膜が狭まってよりまざまざと彼女を感じる。上向いた尻に彼女が乗り上がる体勢になって、彼女自身の重さと垂直にかかる重力によってより深く、そして滑らかに責め立てられるようになる。
「中、きつくなって波打ってすごくきもちいい」
 奥を押し潰される度に肉棒の先端から透明の汁がしぶいて腹を汚す。下腹がじんじんと鈍く疼いて先走りだけでなく尿も放ちたくて堪らない。犬が服従と依存を示すのに放尿するのと同じ現象だろう。吐息も昂揚した犬のように短く疾く浅ましくなっていた。
「したらいいわ、お漏らし。したいのでしょう」
 彼女はそんな僕に目敏く気づいてそう言ってくる。
 僕は歯を食いしばって頭を横に振る。彼女の部屋を、寝台をこれ以上汚してしまうのは嫌だった。しかしそれが益々彼女を昂らせる。
「真っ赤な顔して。していいと言っているの。しなさい」
 彼女の声色が段々と鋭くなってゆく。結果的に言いつけに背いてしまっているせいだ。
「ああ、この豚、言う事聞けないの! いつもはみっともなくその辺に撒き散らしているくせに!」
 罵倒され尻と内腿を強く引っ叩かれる。
「はひぃっ、い、ぃっ、ゃ……だぁ、へや、よごしたく、な……いっ」
「ああそう」
 脚をより高く持ち上げられ、身体がより深く折り畳まれて、顔の前を自分の性器が暴れ回る。もはやほぼ背の上部と肩だけで身体を支えているようなものだった。
「なら自分の顔で排泄物受け止めればいいわ」
 彼女の腰が一際浅い所まで抜かれて、会陰には握った指の関節があてがわれる。きっとこの次の衝撃には耐えられまいと僕は諦観した。
 会陰が抉るように圧迫され、彼女の腰が鎚のように叩き落とされる。
 一気呵成と臓腑を貫き関を打ち破り、穂先が最奥に嵌り嬲る。腹の奥で暴虐の鈍い音が弾ける。
「ん゛ぉ——ッ!!」
 耐え忍び積み上げたすべての快感が瓦解した。
 びしゃびしゃと顔に叩きつけられる液体。獣のような喘ぎに開け放たれた口でそれを受け止める。溢さずすべて飲み込むために惚けた顔で舌を伸ばす。
 あまりにも惨めすぎて開放的でさえあって、放尿しながら慄く臓物で深く絶頂した。
「ォ゛、げほッ、ご、ぐっ、ん゛ッ、ふ、ふぅうう、ア゛……、ぁ」
 彼女に献げ上げた腰が雷に打たれたように小刻みに震える。排尿が終わった後も雄としての快感に至る事はなく、性器は萎えてすべての感覚を尻に明け渡していた。そこに残るのは執拗に後を引く女の快楽のみ。
 この穢れた身が彼女の手で女に、雌に、女の子に作り替えられていくようだ。
 絶頂に蠢く臓物の中に新たな萌芽がある気がする。男にはあり得るはずもない神聖な器が。孕めたらいいのに。そうしたら彼女の子を宿し、慈しみ育てられるのに。彼女をこの世に引き留めるよすがにもなろうに。
「すごい、おしっことお尻の快感だけで終われたのね……正真正銘の女の子だわ。これであなたの望み通り、女同士の交わりになったわね」
 そう評され、嬉しすぎて萎え切っている性器から透明な汁がとろりと流れ落ちる。
「お潮まで流しちゃって。そんないらやしい女の子なら奥で出しても大丈夫よね。お尻ならこんな奥で出したら後が大変だけれど、ここは女の子の場所だものね。射精されるための場所だわ。だからあなたの大事でまっさらな子宮にわたしの精子たくさん流し込ませてね」
 僕はいまだ続く緩やかな後快楽に朦朧とした頭でうっそり頷いた。
 彼女は浅く腰を振りたてその場所を重点的に犯してくる。行為はどこをとっても雄々しいのに、その姿形、声は紛れもなく妙齢の女性でたおやかで愛らしい。アンバランスな感じがむしろ崇高で完璧なように思われる。
「あぁ、きもちいい、あなたの中、すごく……すごく好き、あなたが……」
 亀頭の膨らみが最奥に食い込むように嵌まって浅く動かされると“子宮”ごと持っていかれるようにはらわたが揺さぶられる。内臓を引かれてまた押し込まれるのを小刻みに繰り返されて再び高みに追い上げられる。
 出る、と甲高い声で宣言して、彼女は屹立をしかと僕の中へ埋め込む。
 肉穴の入り口で怒張の根元が脈動し精液を送り込んでいる。どろどろ、どぽどぽと“子宮”に白濁が詰め込まれていくのがわかる。肉粘膜をどろりとした熱い粘液で舐めるように埋められて僕は再び果てた。